研究概要 |
非接触で三次元物体の形状計測や欠陥検査を行う方法として,物体に投影した格子のゆがみを解析する方法,いわゆる格子投影法がよく用いられているが,この方法では二次元のCCDカメラにより面として物体をとらえているため大きい物体の検査に適用するには困難が生じる.そこで,ラインセンサ(一次元CCDカメラ)の特性を活かし,移動物体の形状や欠陥を計測・検査する方法について検討した.この方法により,ラインセンサを用いることで走査モアレ法と同様の原理により物体の等高線を表すモアレしま模様を特別な画像処理を行うことなく得ることが可能となった.さらに,物体の移動に合わせて複数のラインセンサで撮影を行うことにより位相シフト法を適用することができ,形状および欠陥の定量的な評価が可能となった. 次に,トンネル壁面など大きい計測対象に対して本方法を適用するため,光源の広がりのある格子投影を用いる場合について検討した.この場合は,位相シフト量が物体の高さにより異なるため,精確な位相値を決定することはできない.また,三本それぞれのラインセンサが撮影する場所も高さにより異なることから,空間分解能が低下する.しかしながら,空間座標および高さのキャリブレーション法を提案して,センサと物体表面の距離が物体の高さに比べて十分長い場合には,本方法は有効であることを示した.さらに,提案する方法によりコンクリート壁面の形状計測を行い,本方法の有効性を確認した.この方法を基礎とし,さらに発展させることで,巨大構造物の検査が可能となる.
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