研究概要 |
本研究課題では,直流高電圧の印加により電極間で活発な流動(ジェット)を生じる電界共役流体(ECF)を用いた新たな駆動原理のマイクロモータおよびマイクロアクチュエータを応用した極限環境用マイクロハンドつきマイクロヘリコプタの実現を目的としている.本年度は主に,ECFモータのさらなる高出力化を図るため,新たに積層DP-RE形ECFモータを提案,試作した.さらに,電極形状および電極厚さの検討をおこない,高集積化を図った8層DP-RE形ECFモータを試作し,その特性評価をおこなった.また,ECFジェットによる発生圧力を用いてブルドン管の原理で駆動するチューブ形マイクロアクチュエータを提案,試作し,その特性を評価した.実施結果の具体的内容は以下のとおりである. ディスクプレート形ロータ上に薄膜状電極を放射状に配置した試作2層DP-RE形ECFモータの電極厚さを変化させた特性実験により,正負電極厚さを50μmから250μmに増加した場合,最大回転数は1.8倍,最大出力トルクは1.8倍,最大出力パワーは2.7倍に向上した.また,内径9mm4層DP-RE形ECFモータを同体積のもとで,層数を2倍にした内径9mm8層DP-RE形ECFモータ(高集積化積層DP-RE形ECFモータ)を提案,試作した.特性実験の結果,最大回転数は1.8倍,最大出力トルクは3倍,最大出力パワーは6.5倍に向上され,多層DP-RE形ECFモータの高集積化は高出力化に非常に有効であることが示された. 極限環境用マイクロハンドに用いるアクチュエータの開発をねらって,針状電極とリング状電極の電極対から発生するECFジェットにより生じる圧力で駆動されるチューブ形マイクロアクチュエータを提案し,チューブ外形1.1mmのアクチュエータを試作した.特性実験の結果,印加電圧6.5kVにおいてECFジェットによる圧力2.3kPaと垂直方向変位0.6mmおよび水平方向変位0.5mmが得られた.さらに,直径2mmサイズのチューブ複合形2自由度マイクロECFアクチュエータを試作し,駆動実験をおこなった.
|