研究概要 |
本研究は,直流高電圧の印加によって活発な流動を発生する電界共役流体(ECF)をマイクロモータおよびマイクロマニピュレータに応用し,これらを搭載した極限環境用マイクロヘリコプタに実現を目的としている.本年度は主としてECFマイクロモータの高性能化およびマイクロマニピュレータの開発を行った. ECFマイクロモータは,ステータ内部が電界共役流体で満たされており,ロータ上に配置された電極対に高電圧を印加することにより発生するジェット流の反力をモータの回転に応用した新たな機能要素である.これまでに,円筒形ロータ上に電極を有するC-RE形モータ,円盤形ロータ上に電極を有するDP-RE形モータなどを実現したが,本年度はDP-RE形モータの高出力化を図った.すなわち,小形化により出力パワー密度が向上するECFモータの特徴を生かしたモータの小径化,円盤状ロータの集積を図った積層化,および高性能な電界共役流体を用いた性能の向上を検討した.この結果,従来のECFマイクロモータに比べて,出力パワー密度で6倍を達成した. ECFマイクロマニピュレータは,電界共役流体に発生するジェット流をシリコーンチューブの内圧制御に応用したマニピュレータである.先端が閉じた湾曲したシリコーンチューブ内を電界共役流体で満たし,根元部に配置した電極対に高電圧を印加すると内圧が上昇して,ブルドン管と同様の原理でチューブが変形する.これまでに,直径1mmの湾曲チューブを製作し,針状-リング状電極対を用いることによって,1自由度マイクロマニピュレータを実現し,静特性および動特性を明らかにした. なお,内径2mmのC-RE形ECFモータに関する研究により,台湾大学で開かれた国際会議7^<th> Int. Conf. Mechatronics TechnologyにおいてBest Paper Awardを受賞した.
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