研究概要 |
本研究の目的は,ミトコンドリアの生体膜に存在するATP合成酵素のうち,膜内在性部分のFoモータの回転特性を解明するために,マイクロ・ナノマシン技術を用いて,一分子レベルで計測する技術を確立することである。 本年度は,Foモータの回転を誘発するための局所的プロトン場形成させることができるナノ電極アレイの試作に着手した。また,電極に固定可能な人工生体膜の精製法を研究した。 ナノ電極の基板としては,ガラス基板上に透明金属であるITO(Indium tin Oxide)や、金、アルミ、ニッケルなどの金属をコーティングしたものを使用した.それぞれの金属はパターンニングして配線として用いた。必要な部分以外は,PDMS(Polydimethylsiloxane)やテフロン樹脂,あるいはパリレン樹脂によって絶縁する方法を採用した。また、作成後、これら電極の抵抗率や、電流-電圧曲線などの特性を評価した。 また,人工生体膜としては,膜タンパクを組み込んだ大腸菌の細胞壁を取り除き,膜をだけを精製する方法を検討した.この膜に,電極上に固定するためのタンパク質側の接着部位として,遺伝子操作によってFo/F1モータに導入し、その活性を計測することに成功した。これらの分子モータにビオチン化したタグを組み入れることによって、ビオチン抗体で修飾されたビーズを光ピンセットで押し付けることによって吸着させることに成功した。また、同様に光ピンセットによって,これらの膜をハンドリングし、所望の位置へ移動し、破砕させ平面膜にする方法を検討した。
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