研究課題/領域番号 |
14205035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 範ジュン 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60334356)
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研究分担者 |
野地 博行 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00343111)
竹内 昌治 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90343110)
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キーワード | 生体分子モータ / マイクロ・ナノマシン / ナノ加工技術 / MEMS / 生物物理 / 一分子観察 / ナノパターン |
研究概要 |
本研究において、高感度で生体分子の活性を検出するための新しいマイクロデバイスの開発に成功し、生体分子モーターに関する新しい重要な結果を得ることができた。この研究過程で、マイクロ構造へのタンパク質パターニング技術・タンパク質の生理活性の分子イメージングなどの基盤技術を開発した。この成果を踏まえ、今年は応用研究であるプロテインチップの新しい基盤技術を確立した。 1)昨年度までに世界最小の溶液チャンバーアレイの開発に成功した。このチャンバーは体積がfL(10-15L)しかないため、この中に酵素1分子を閉じ込めると、わずか数十秒で反応産物の濃度がμMとなり容易に1分子検出ができる。これを、市販の酵素アッセイキットなどを利用して実証した。 2)上述のマイクロチャンバーを用いて、回転分子モーターであるF1モーターの単分子計測を行った。このモーターは、単独でATPを加水分解して回転運動を行うが、生体内では別の回転分子モーターによって逆回転されATPを合成する。この反応効率を測定するために、F1モーターを今回開発したマイクロチャンバーに閉じ込め、磁気ピンセットを用いて逆回転させる。逆回転の結果合成されたATP分子は1800個程度であるが、6fLのチャンバーでは、濃度は0.5μM上昇する。そのため、磁気ピンセットから開放されたモーターは、逆回転する前より高速度で回転するはずである。この速度上昇から合成ATP量を見積もり、ATP合成の効率をさらに明らかにした。 3)一方、タンパク質パターニングのため、マイクロノズルからの分子射出・ナノコンタクトプリント法による分子パターニングの実証実験を行った。これらの方法をタンパク質パターニングに応用した。さらに、パターニングされたタンパク質が活性を維持していることを顕微観察から確認した。
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