研究課題
基盤研究(A)
本研究において、高感度で生体分子の活性を検出するための新しいマイクロデバイスの開発に成功し、生体分子モーターに関する新しい重要な結果を得ることができた。【14-15年度】膜タンパクの研究:大きさ約100ミクロン程度の微小孔に、有機溶媒中に溶かした脂質をバッファで挟むことによって製作し、この平面膜を顕微鏡下で観察する実験系を組み上げた。これをマイクロシステム中で応用するために、シリコンで微細な流路を形成し、バッファと有機溶媒を交互に流すことによって、流路内部に存在する微小貫通孔へ脂質2重層を形成することに成功した。さらに、アラメシチンと呼ばれるペプチドを直径約1ミクロン程度のリポソーム内に精製し、これを平面膜が形成された領域に注入することによって、ペプチドを膜内に導入することに成功した。融合後に電圧を膜を介して印加することによって発生する、アラメシチンを通じたチャンネル電流を計測することも成功した。【16-17年度】分子モーターの研究:世界最小の溶液チャンバーアレイの開発に成功した。このチャンバーは体積がfL(10^<-15>L)しかないため、この中に酵素1分子を閉じ込めると、わずか数十秒で反応産物の濃度がμMとなり容易に1分子検出ができることを市販の酵素アッセイキットを用いて実証した。上述のマイクロチャンバーを用いて、回転分子モーターであるF1モーターの単分子計測を行った。このモーターは、単独でATPを加水分解して回転運動を行うが、生体内では別の回転分子モーターによって逆回転されATPを合成する。この反応効率を測定するために、F1モーターをマイクロチャンバーに閉じ込め、磁気ピンセットを用いて逆回転した。逆回転の結果合成されたATP分子は1800個程度であるが、6fLのチャンバーでは、濃度は0.5μM上昇する。そのため、磁気ピンセットから開放されたモーターは、逆回転する前より高速度で回転する。この速度上昇から合成ATP量を見積もり、ATP合成の効率をさらに明らかにした。一方、マイクロ・ナノパターンの新技術の開発を行い、以下の結果を得られた。タンパク質パターニングのため、マイクロノズルからの分子射出・ナノコンタクトプリント法による分子パターニングの実証実験を行った。これらの方法をタンパク質パターニングに応用し、パターニングされたタンパク質が活性を維持していることを顕微観察から確認した。この研究過程で、マイクロ構造へのタンパク質パターニング技術・タンパク質の生理活性の分子イメージングなどの基盤技術を開発した。この成果を踏まえ、応用研究であるプロテインチップの新しい基盤技術を確立した。
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