研究概要 |
本研究の目的は,マイクロTASに必要なポンプ・フィルター・リアクター・センサー等をすべて同じ材料・同じ駆動原理で実現するために必要な要素技術開発を行うこと,また,エネルギーの供給と分析結果の取り出しを容易にするために,60GHz帯のミリ波を利用可能にすることである。そのために,ホトニックバンドギャップ的な発想により,ナノ誘電体材料を分散することにより全方向性ミリ波アンテナを実現するという,新たなナノ構造制御型マイクロ材料であるメタマテリアルの材料開発およびそれを利用したミリ波デバイスの開発を行う。開発したマイクロTASとミリ波デバイスを組み合わせることにより,容易に持ち歩くことができるマイクロTASを実現することができる。平成15年度においては,下記の結果を得た。 (1)進行波を利用したポンプのマイクロ化とそれとマイクロ流路の接続の方法について検討した。進行波マイクロポンプによるマイクロ流路内の流速分布を数値実験を用いて算出し,マイクロ領域でのポンプ性能を明らかにするとともに,新たなアクチュエータ構造について検討した。また,マイクロミキサーについても同様のアプローチを行った。その結果,進行波マイクロポンプの効率は80%以上であった。また,マイクロミキサーに関しては,流速変動を利用することによりより効率よく短距離で混合を促進できることを明らかにした。 (2)液体駆動の方法として,基板上に配置した平行ストリップ状電極に電圧を印加し,ここに発生する誘電泳動により,電極ギャップに沿って水溶液を輸送する手法を開発し,熱伝導性の良い金属基板を用いることにより,1mM程度の塩溶液の搬送を実証した。 (3)通信用のミリ波アンテナに関しては,誘電体を分散配置したアンテナにより発信できることまたその配置を換えることで指向性を変えることが可能なことを確認した。さらに誘電体の動的に配置を変える構造に関しては,マイクロポンプを持いる方法について検討を行った。
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