研究概要 |
生物の脳における自己組織化過程を模擬した自己組織化システムをハードウェアで実現し、それをロボティクスに応用するために,平成17年度は以下のような研究を行い,成果を得ることができた. (1)自己組織化マップ(SOM)の拡張した概念である自己組織化関係ネットワーク(SORネットワーク)の応用について研究を行った.具体的には,非ホロノミック系移動ロボットのコントローラをとりあげ,4輪自動車の軌道決定やトレーラートラックの後退制御を実現した. (2)移動ロボットのための外界環境認識に関する研究を行った.様々な環境を2次元平面に写像し,その分類結果が視覚的に理解できる自己組織化マップに対して,各ノードが有する参照情報を非線形部分空間に拡張したモデルを構築した.これにより画像情報を比較的容易に分類することが可能となった. (3)移動ロボットのための外界環境情報の特徴抽出を,階層型のウェーブレットニューロンである非線形関数ネットワークを用いて行った.さらにそれを実時間処理するために専用ハードウェアを開発した. (4)少ないセンサ情報をもとに,単純なルールでロボットの「群れ行動」を生成するアルゴリズムを設計し,その動作をシミュレーションにより確認した. (5)SORネットワークの実時間処理とコンパクト性を実現するために25個の競合層ユニットをもち,16次元の結合重みベクトルを持つSORネットワークチップ(Rohm0.35μルール,4.9m角)を試作した. (6)SOM及びmnSOMを用いた行動決定システムを開発し,移動ロボットへ適用した.この行動決定システムは,運動同定機構及び制御系調整機構から構成される.想定されるロボットの動特性を学習しておくことにより,環境や動特性の変化,故障等への対応が可能である.
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