研究概要 |
申請者らは、自己組織的に入出力ベクトルを生成する自己組織化関係ネットワーク(SORN)を開発したが、これまではソフトウェアで実行するものが主体であり、システムの規模や学習回数が増大すると,多大な時間を必要とし、リアルタイム処理が困難になるという問題点をはらんでいた。 そこで本研究では,これらの問題を克服するために,平成14年度から17年度の4年間に,以下の研究成果を得た. 1.ハードウェア化に適した自己組織化関係(SOR)ネットワークのアルゴリズムの開発を行った.移動ロボットのための外界環境認識に関する研究を行った.SORネットワークの学習収束性向上のために,バッチ型学習則を提案した. 2.実応用において、外界情報の獲得が重要である。外界情報の効率的な獲得モデルとして、階層型の基底関数ネットワークを開発した。顔画像やテキスト画像からの文字領域抽出に有効であることを示した。そのモデルをハードウエア実装し、実時間処理を実現した。SOMの実時間処理とコンパクト性を実現するために,25個のユニットを有し,16次元の参照ベクトルを持つSOMチップ(Rohm0.35μルール,4.9m角)を試作した. 3.限られたセンサ情報のみを用いて単純なルールにより「群れ行動」を生成するアルゴリズムも開発した。自己組織化学習チップの特徴である教師無し学習アルゴリズムに着目し、ロボット自身が状況を判断する行動決定システムを開発した。開発したシステムを用いた障害物回避シミュレーション及び実機実験、環境適応シミュレーションの結果から、ロボットが自身の動作環境を認識できること、及び環境に適応して行動を調整できることを示した。
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