研究課題
本年度は、実際に人間のように柔軟な判断の行えるシステム実現を目標とし、ロバストな「人の顔検出システム」をほぼ完成させるとともに、システムのボトルネックである画像入力部に対し、専用VLSIチップの開発により実時間処理を実現した。また、連想処理ハードウェア用回路技術の水平展開として、移動体通信で重要なCDMAマッチトフィルタへの応用研究を進めてきたが、これに関しては低消費電力化で大きな成果を得た。「人間の顔検出」システムでは、まず平成15年度にMultiple-Clue法の導入により実現したFalse Negative Free顔検出のアルゴリズムをさらに発展させ、照明変化や焦点ずれによる画像のボケに対するロバスト性を向上させると共に、スケール変化や画像の回転に対しても柔軟に対応できるシステムを開発した。これにより、人間が"顔のようだ"と感じるいわゆる心霊写真的な顔類似のパターンも、的確に検出できるようになった。こうして検出された顔の候補の中から、本当の顔を選び出すため「多重解像度エッジベクトル法」と呼ぶ新たな検証アルゴリズムを開発した。これは、空間解像度の高いエッジベクトルを生成し、これを用いて顔のパーツ(眼、鼻、口)の位置関係を検証する方法である。これにより真の顔を落とすことなく、false positiveを有効に除去できるようになった。さらに、この検証法はOcclusionにも強く、例えば眼帯をつけた人の顔も正しく検出できる。このシステムのボトルネックは、画像のエッジ検出とベクトル生成である。これを、実時間で実行できるMixed Signal VLSIチップを開発した。最も時間のかかるエッジ検出の閾値決定回路部にアナログの多数決回路を導入すると共に、2次元シフトレジスタアレーアーキテクチャを用いたベクトル生成回路の開発により、実時間処理をコンパクトに実現することが出来た。最速のCPUを用いたソフトウェア処理に比べ、約1万倍の高速化が達成できた。また、全アナログ処理のエッジ検出システムも開発した、これは隣接セル間配線のみでnext nearest neighborにまたがるフィルター処理を並列演算できる独自のVLSIチップで、1秒間に1000フレームのエッジ検出処理ができ、動画解析にも応用できる。CDMAマッチトフィルタは、電流モード演算回路の採用と新たなマッチングセルの開発により、2V電源、1.65mWの消費電力で、256チップ長のPNコードに対し11M Chips/secの同期検出可能なVLSIチップを開発した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (14件)
IEEE Journal of Solid State Circuits (印刷中)
Japanese Journal of Applied Physics (印刷中)
IEEE Journal of solid state Circuits (印刷中)
Proc. 2005 International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS' 05), May 22-26, Kobe, Japan (印刷中)
Proc. 2005 International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS' 05), May, 22-26, Kobe, Japan (印刷中)
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