研究概要 |
高次元磁性フォトニック結晶の形成とその線形・非線形磁気光学効果の測定成果を以下に列挙する。 (1)1次元磁性フォトニック結晶の形成とその線形・非線形磁気光学効果の測定 局在波長911nmの1次元磁性フォトニシク結晶をrfマグネトロンスパッタ装置により作製した。局在波長でのファラデー回転角は、1.47°を示した。非線形光学効果の測定は、Nd : YAGパルスレーザを光源とし、光パラメトリツク発振器により波長を400nmから1800nmまで連続に変調可能なレーザ光を利用し、第2次高調波の発生と非線形磁気光学効果の観測を試みた。この試料の横カー配置の磁化の変化においては非線形磁気光学カー効果(NOMOKE)コントラストの光の強弱が見られ、その変化量は0.3と大きな値を示した。縦カー配置の磁化の変化においてはNOMOKE回転の偏光面の回転が見られ、その回転角は38゜と線形に比べ一桁大きな値を示した。 (2)2次元磁性フォトニック結晶の形成 水溶液プロセスでの自己組織化法によって作製した陽極酸化ポーラスアルミナテンプレートを用いて、ガーネットプレカーサを充填する方法を試みた。SEM像からは、柱状のガーネットプレカーサを確認できたが、中空なものや完全に充填されていないものも観測された。そのため,このテンプレートをマスクに用いた逆構造2次元磁性ガーネットのフォトニック結晶の作製を試みている。 (3)3次元磁性フォトニック結晶の形成 微粒子沈降法を用いたオパール構造による3D-MPCの形成について行った。三次元周期構造を形成する手法として電子ビームや半導体プロセスによる微細加工技術が上げられるが、大がかりな装置を必要とし生産性も低い。そのため生産性に優れた微粒子沈降法による三次元周期構造の形成に注目した。この構造をビスマス置換イットリウム鉄ガーネット(Bi : YIG)のような透光性が高い磁性材料による微粒子を用いて構成する事により3D-MPCを形成できる。まず,尿素分解法・フェライトメッキ法を,用いて、核となる粒子の表面に磁性体層を形成するhollow構造微粒子を積層する方法、SiO_2球やLATEX球の周期構造体をテンプレートにガーネットプレカーサを充填する方法を試みている。 現在引き続き2次元、3次元磁性フォトニック結晶の形成を試みると共に、1次元磁性フォトニック結晶で得られた非線形磁気光学効果を2次元,3次元においても測定することを試みる。
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