研究概要 |
(1)1次元磁性フォトニック結晶の形成とその線形・非線形磁気光学効果の測定 昨年度までに,磁性体欠陥層を1層だけを加えた1次元磁性フォトニック結晶を作製し,その線形および非線形磁気光学効果の測定を行なった.今年度は,磁性体2層から成る構造の磁性フォトニック結晶を作製し,その線形の透過光スペクトルの測定,そして光パラメトリック発振による波長400nmから1800nmまでのレーザ光を利用し,第2次高調波発生と第3次高調波発生の非線形磁気光学効果の測定を行なった.その結果,光のバンドギャップの幅を可変できることを確認した.次に,2種類の誘電体薄膜の一方に磁性体ガーネット薄膜を使用した構造の結晶について調べた.この結晶では,フォトニック・バンドギャップのエッジ付近で大きなファラデー回転が起ること,非線形磁気光学カー効果のコントラストがほとんど1になることがわかった. (2)2次元磁性フォトニック結晶の形成 自己組織化した陽極酸化ポーラスアルミナテンプレートを用い,ガーネット薄膜をArイオンスパッタすることで,逆構造2次元磁性フォトニック結晶を作製した.さらに完全な2次元配列を得るために,電子ビーム露光装置を使用してポーラスアルミナテンプレートを作製した.現在,この2次元磁性フォトニック結晶の線形・非線形磁気光学効果の測定を行なっている. (3)3次元磁性フォトニック結晶の形成 微粒子沈降法によるオパール構造の作製法を用いて,3次元磁性フォトニック結晶の形成を行った.沈降するシリカ球に磁性体のフェライトをメッキする方法の開発,そしてシリカ球で形成したオパール構造体の中にフェライトの材料となる溶液を浸漬させてから,フェライトを内部に充填する方法の開発を行なった.実験の結果,反応溶液の種類,濃度,PH値などを調整することによって,シリカ球にフェライトをコートすることが可能であり,そしてオパール構造の中に,フェライトやTb_3Ga_5O_12などの充填が可能になった.これら2種類の方法による3次元磁性フォトニック結晶の作製を進め,線形光学特性の測定を行なっている.
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