研究概要 |
本研究は,本研究グループが開発したプラズマ中に発生するシリコン微粒子(クラスタ)の成長制御法とクラスタ観測技術をもとに,光劣化のない超高効率a-Si:H太陽電池を実現するクラスタ抑制プラズマCVD法の確立を目的としている.平成15年度に得られた成果は,以下のとおりである. 1.プラズマ中で発生したサイズ1nm以上のクラスタが膜中に取り込まれると,膜中のSiH_2結合量が増加し,結果として光劣化が大きくなる.従って,サイズ1nm以上のクラスタの膜中への取り込みを抑制することが,光劣化の低減につながる. 2.プラズマ中にサブnmサイズのクラスタが存在すると,クラスタへの電子付着により電子密度の低下が生じ,結果として製膜速度の増加を妨げる.従って,サブnmサイズのクラスタの発生を抑制することが,高品質膜の高速製膜につながる. 3.クラスタ抑制を促進するために,これまでのクラスタ抑制プラズマCVD法にトライオード放電法を組み合わせた結果,単接合PIN太陽電池効率換算で初期効率13%,安定化効率12.3%程度の従来にない高品質膜の形成に成功した. 平成16年度は,クラスタの完全抑制を目指すとともに,クラスタ抑制により実現できる初期及び光誘起欠陥密度の下限を明らかにし,最終的に光劣化のない超高効率a-Si:H太陽電池を実現するクラスタ抑制プラズマCVD法の確立する予定である.
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