研究概要 |
1.作製プロセス (1)周期的レジストパターンの形成 溶融石英基板上にフォトレジストをスピンコートする。厚さはおよそ1μmで,屈折率はカタログ値でn=1.68である。このサンプルに対して二重干渉露光を行った。光源は波長λ=325nm,ビーム直径1mmのHe-Cdレーザを使用した。レーザ光はビームエキスパンダで40倍に拡大された後,ハーフミラーで二等分され,それぞれがミラーによって角度を調節され,サンプルに照射される。1回目の露光で1次元の周期構造が形成され,サンプルを回転させて2回目の露光を重ねて行うことにより2次元の周期構造が形成される。回転角が90°なら正方格子,60°なら三角格子が形成される。今回は三角格子を形成した。原子間力顕微鏡による観察の結果,山の高さはおよそ100nm,格子間隔はA=610nmと測定された。 (2)高周波スパッタリングによるCdS層の形成 最終的にはレジストをマスクにしたエッチングにより石英基板に周期構造を形成することを狙っているが,今回は第一段階としてパターニングしたレジストの上にrfスパッタリング装置によりCdS層を304nm形成した。成膜条件は,ベース圧力:2.7×10^<-5>Pa,導入Ar圧力:1Pa, rfパワー:80W,基板バイアス印加なし,基板加熱なし,である。CdS層表面のAFM像を測定した。基板バイアス印加などの積層の最適化を行っていないためにレジストパターンに比べると多少滑らかさが失われているが,振幅50nm程度の三角格子状の凹凸パターンが保存されており,2次元フォトニック結晶が形成されていることが確認された。 2.評価結果 λ=325nmのHe-Cdレーザで励起した時の,膜面に垂直な方向のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。2次元フォトニック結晶からのPLスペクトルは,波長525nm近傍にピークを持ち,少なくとも380〜500nmの範囲の成分が抑圧されていることが分かった。ピークの半値全幅(FWHM)は48nmであった。面内の共振波長が525nm近傍に存在し,これに対応する成分が他の波長成分に対して増強されて観測された結果であると考えている。
|