研究概要 |
本研究では,フォトニックネットワークにおいて伝送光信号のデジタル処理を電子回路の助けを借りずに行う超小型・超高速・低消費電力の半導体デジタル全光デバイスを開発し,それらを単一の半導体基板上にモノリシック集積化して,再生中継や時分割多重/分離を行うワンチップ機能回路を実現することを目的としている.平成14年度は,具体的には以下の研究を行った: (1)有機金属気相エピタキシーによる能動/受動集積化技術の確立:モノリシック集積光デバイス・回路における能動素子と受動素子の一括形成・集積化技術を,有機金属気相エピタキシ(MOVPE)の選択成長に依拠して研究し,そのメカニズムを明らかにすると共に,選択成長のシミュレーション技術を開発した.その結果を基に,現在選択成長設計支援ツールを構築中である. (2)半導体デジタル全光デバイスの解析・設計:本年度は,量子井戸電界吸収型(EA)光非線型媒質と方向性結合器(DC)との集積化による光論理ゲート,非線型方向性結合器と双安定半導体レーザとの集積化による全光フリップフロップ,および能動MMIカプラ/マッハツェンダー干渉計における2モード発振を利用した高速全光フリップフロップについて,動作特性の解析と素子の設計を行った. (3)半導体デジタル全光デバイスの試作:(2)の設計に基づき,波長1.55μm帯で動作するInGaAsP/InPデジタル全光デバイス,具体的には,量子井戸電界吸収型(EA)光非線型媒質と方向性結合器(DC)との集積化による光論理ゲート,非線型方向性結合器と双安定半導体レーザとの集積化による全光フリップフロップの試作を行った. (4)試作デバイスの特性測定評価:試作デバイスの全光制御動作特性を,主に静特性の観点から詳細に測定評価した.
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