研究概要 |
今年度は以下の研究を行った. (1)多眼レンズアレイを用いた3次元光線空間情報の取得手法に関する検討 光線情報の取得法として特に有望な多眼レンズアレイ方式について重点的に検討を進めた.レンズには,光ファイバを用いた屈折率分布レンズを採用した.特に,レンズアレイにおける結像特性に着目し,前段にさらにフレネルレンズを配することによって,さまざまな視野角,奥行き規模の被写体を撮影可能にした.しかし,このフレネルレンズには奥行き圧縮効果があるため,一般の3次元ディスプレイと同様に「箱庭効果」が付加されてしまうことになる.この光学系で回避できない問題に対して,光線追跡法の考え方を適用し,ソフトウェア的に解決する手法を提案・実装した.実験の結果,光学系の変更によって撮影可能な被写体の種類を増やす一方で,そこで生じる問題をソフトウェア的に解決することが可能であることが示された. (2)光線情報の構造的特徴を反映した全焦点画像を合成する手法に関する検討 カメラアレイを用いて取得した光線情報に対して,任意視点画像を合成する試みはこれまでに報告されているが,被写体までの奥行きに応じて,焦点ぼけに相当する効果が現れることが知られている.この問題に対して,周波数領域における理論的な検討を進め,さまざまな再構成フィルタに対して異なる焦点ぼけが発生することを明らかにした.さらに,この性質に着目し,さまざまな奥行き仮定に対応する画像群を合成し,それぞれの焦点ぼけを検出する手法を提案・実装した.
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