研究分担者 |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50111258)
大村 達夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
風間 聡 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (50272018)
泉 典洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10260530)
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研究概要 |
昨年度に引き続き,研究分担課題に従い下記のように河口生態系に関わる水理・水文・水質特性に関する調査研究を行った. ・極めて閉鎖性の強い大船渡湾において,衛星および地上観測を通じて水質構造の生成機構に関する実測を行うとともにその考察を進めた. ・フミン物質表面の静電的自由エネルギーに着目したDebye-Huckel理論にもとづいて,フミン物質と鉄の錯平衡モデルを構築した.このモデルにより,標準フミン物質を用いた錯平衡実験結果,および阿武隈川河口域と松島湾における調査結果を正確に再現できた. ・阿武隈川の河口において,塩水混合と浮遊物質の沈降特性に関する現地観測を行った.塩水遡上時に生じる塩水混合層に,河川由来のSS濃度の極大値が存在する.塩素イオンの存在によるフロック化と密度変化による沈降特性の変化がSSの濃度分布を決めていることを明らかにした. ・河口干潟において流出入する有機物輸送量を明らかにするモデルを開発するため,ベントス量の調査,底質環境条件と底泥表層の基礎生産量ならびに分解量の関係について基礎的データを収集した.また,河口干潟のペントスを対象として既存のモデルを改良後に適用した結果,ベントスの生息地の評価が概ね可能になった. ・河川下流域における微細浮遊粒子の流送過程を明らかにするために、七北田川沿川4地点においで低水時における底質採取と,高水時における流水採取を行った.その結果,底質に含まれる微細粒子の量は洪水によって一時的に減少し数週間程度で徐々に洪水前の量に回復すること,洪水時には洪水前期において河床からの巻上げが,洪水後期に河床への堆積が卓越していることが明らかとなった. ・流域から河口への流出量評価に不可欠な蒸発散損失量について,名取川流域を対象として衛星計測に基づく手法と物理モデルによる手法とを比較検討し,その精度の検討と実用化への考察を行った.
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