研究分担者 |
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60192548)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (50153838)
鹿熊 信一郎 (財)亜熱帯総合研究所, 研究部, 研究主幹
八木 宏 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (80201820)
波利井 佐紀 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (30334535)
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研究概要 |
1)石垣島・西表島および石西礁湖海域に関する過去の複数時点でのLANDSAT-TM画像を解析することにより,土地利用および植生被覆状態の経時変化特性を明らかにするとともに,表層土壌(赤土)流出特性とその経時変化に関する流域間比較,さらにはそれらと隣接サンゴ礁域におけるサンゴ被覆度や赤土堆積状態等の経時変化との対応関係の検討を行った.2)昨年と同様の物質循環・流動観測ならびに藻場・マングローブ群落調査を,石垣島・吹通川河口域の「サンゴ礁-藻場-干潟-マングローブ」統合生態系を対象に行い,それらの特性を明らかにした.3)海洋大循環・黒潮モデル(JCOPE)による計算結果を同化させる形で黒潮影響を直接取り込んだ多重ネスティング海水流動モデルを開発するとともに,それによるサンゴならびにオニヒトデ幼生の広域輸送・分散過程を解析するための数値シミュレーションモデルを構築した.それに基づいて,慶良間列島から沖縄本島西岸域に向けての幼生輸送過程を高精度に再現することに成功するとともに,それをもたらす東向き流れの発生メカニズムを明らかにした.さらに,黒潮に接する海域において時計回り渦が間欠的に発生し,黒潮とともに北東方向に移動するとともに,その分枝流が波及する形で間欠的に黒潮系暖水塊が石西礁湖海域や沖縄本島西岸域に及ぶことを明らかにした.また,このような渦構造に伴って,石西礁湖海域と沖縄本島海域を結びより広域的なリーフコネクションが存在することを示した.4)沖縄本島沿岸域および慶良間列島海域で定着板を用いた現地調査を行うことにより,放卵放精型のサンゴと幼生飼育型のサンゴ幼生定着量の空間分布特性を明らかにし,両者間で明瞭な違いがあることを示した.5)オニヒトデの広域的なメタ個体群動態把握のための遺伝子マーカーを開発することに成功した.6)これらの成果から,琉球列島全体の広域的沿岸生態系ネットワークの枠組みでの保護区設定の指針などについての重要な知見を得ることができた.
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