研究課題/領域番号 |
14205078
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大垣 眞一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20005549)
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研究分担者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (00302779)
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70272367)
滝沢 智 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10206914)
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00361527)
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キーワード | 二酸化チタン / 臭素酸イオン / 還元反応 / Langmuir-Hinshelwood式 / 化学量論 / 反応速度 / 光触媒担持膜 / 共存物質 |
研究概要 |
発がん性を有する臭素酸イオン(BrO3-)は、臭化物イオン(Br-)を含む原水をオゾン処理すると生成することが知られており、その対策が急務とされる。そのため、WHOは飲料水中の暫定的な水質ガイドラインとして25ug/Lを勧告している。 臭素酸イオンの二酸化チタン光触媒反応による還元反応特性、ならびに反応時の共存有機物の影響を明らかにするための実験を行った。処理方式としては、連続流入式の二酸化チタン光触媒担持膜(二酸化チタン粉末をガラス繊維濾紙上に2mg/cm2担持し、300度にて1時間焼成したもの)を開発し、ブラックライトランプを光源として使用した。一定の光強度・流量で試料を流入させ、透過液中の臭素酸イオン濃度および臭化物イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定した。また、共存物質の影響を調べるため、メタノールまたはフェノールを添加した実験も行った。反応速度の解析にはLangmuir-Hinshelwood式(以下L-H式)を用いた。 実験の結果、透過液中の臭素酸イオン濃度と臭化物イオン生成量の関係はL-H式に従うことが確認された。その際、臭素酸イオン減少量と臭化物イオン生成量は化学量論的に等しいことが示された。光強度と反応速度係数、および光強度と吸着係数の間には高い相関が見られた。共存有機物濃度と臭化物イオン生成量の関係を調べた実験により、メタノールは25uMにおいて阻害作用を及ぼすことが明らかになった。また、共存メタノール濃度の増加に伴い臭化物イオン生成量が増加した。一方、フェノールは臭素酸イオン還元反応に対して高い阻害作用を及ぼした。 臭素酸イオンの還元反応特性を詳細に評価することができた。また、臭素酸イオンの還元反応においてメタノールとフェノールは異なる作用を及ぼしたことから、有機物は複雑な共存影響を及ぼすことが示された。
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