研究分担者 |
滝沢 智 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10206914)
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70272367)
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00302779)
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00361527)
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研究概要 |
臭素酸イオンの二酸化チタン光触媒反応による還元反応特性、ならびにフェノールの酸化反応特性を調べることにより、水中の光触媒反応の総合的理解を目指した研究を行った。処理方式としては、連続流入式の二酸化チタン光触媒担持膜を開発し、ブラックライトランプを光源として使用した。反応速度の解析にはLangmuir-Hinshelwood式(以下L-H式)を用い、光触媒担持膜の表面反応モデルを構築した。このモデルは酸化反応と還元反応を共に組み込んでおり、中間生成物と吸着競合物質の反応への影響を含めた複合的なモデルである。このモデルによりフェノールの酸化分解反応と臭素酸イオンの還元反応を統一的に説明することができた。 また、光触媒による藻類の抑制効果について研究を行った.結果として紫外線と同時に可視光照射を行うことにより,抑制効果が促進されることがわかった。これは,可視光によって生じる藻類の光合成作用が,藻類周辺における溶存酸素の供給を促し,これによって光触媒作用が促進されたものと考えられる。可視光(蛍光灯照度)を10001x程度および紫外線強度を0.5mW/cm2程度にしたときに最も顕著な藻類抑制効果が現れることがわかった。この方法にすれば,藻類のみに著しい不活化効果を与えるため,他の生物系への影響を押さえながら,藻類を抑制する手法として応用することが期待される。 紫外線単独の不活化に関する研究を行い、さらに紫外線と光触媒の組み合わせにによる不活化効果の増大効果について調べた。ファージQβを対象として分子生物学的手法の一つであるPCR法により消毒効果を調べた系では、光触媒担持膜においてもPCR法によるQβの検出は可能であり、紫外線と光触媒を組み合わせても遺伝子を消失するまでの不活化は見られなかった。
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