堆積平野でのやや長周期地震動の高精度予測のためのデータベースの構築に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14205081
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30089825)
• 研究分担者: 元木 健太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60334520) ; 衣笠 善博 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30313365) ; 山中 浩明 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00212291) ; 水田 敏彦 秋田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (30342455)
• キーワード: やや長周期地震動 / 地下構造モデル / 常時微動アレー観測 / 地震動シミュレーション / データベース / 地震観測

研究概要

本研究では、地震基盤までの地盤構造探査、地震動の観測および記録の解析、3次元波動伝播の数値計算を行うことで、やや長周期地震動評価のためのデータベースを構築することを目的とする。以上の目的を達成するため、本年度は以下の項目について検討を行った。
1)やや長周期帯域に見られる地震動特性と地震動シミュレーション解析
関東平野でのやや長周期帯域での卓越周期について、観測した地震動記録から千葉県の姉ヶ崎周辺において10秒以上まで延びており、東京湾西側沿岸と比べると長くなっていることを明らかとした。また、堆積層表面波生成に寄与する盆地端部の地震動増幅についても、地震動シミュレーション解析からその性状について考察を行った。
2)常時微動アレー観測による地下構造探査
やや長周期地震動予測のための地下構造モデル構築を目指して、常時微動アレー観測を行った。対象地は観測時に地下構造が明らかにされていなかった松江平野と出雲平野と讃岐平野である。また、2003年に発生した被害地震の被災地周辺(宮城県北部の地震の震源域、北上低地帯、十勝平野)についても微動アレー観測と単点微動観測を行い、被害や地震動との関連性について検討を行った。さらに当該地周辺の地震記録も併せて解析し、データベースを作成する予定である。
3)地震観測
昨年度、微動アレー観測を行った秋田平野で、地震観測を開始した。当該地周辺では地震観測点が少なく、本研究で得られる観測記録は貴重なデータとして提供されるものと考えられる。また、2003年の被害地震で7月26日に発生した宮城県北部の地震と9月26日に発生した十勝沖地震の震源近傍で、余震観測を行った。ここでの観測は地盤震動増幅について注目しており、被害と地震動増幅の関連性を探るための基礎資料として位置づけられる。

研究成果

• [文献書誌] 栗田勝実, 瀬尾和大: "堆積平野端部近傍で見られる二次元重複反射波が地震動に与える影響-神戸市東灘区における中小地震を基にして-"地震 第2輯. 56. 59-74 (2003)
• [文献書誌] Eto, K., K.Motoki, K.Seo: "A Study on the Effects of Surface Waves Generated in Deep Sedimentary Basins during a Major Earthquake"Proc.of 1st International Conf.on Urban Earthquake Engineering. 263-270 (2003)
• [文献書誌] Saguchi, K., K.Motoki, K.Seo: "Effects of Deep Subsurface Structures on Seismic Wave Propagation near the Edge of Sedimentary Plain"Proc.of 1st International Conf.on Urban Earthquake Engineering. 547-554 (2003)
• [文献書誌] 山田伸之, 山中浩明: "関東平野における地下構造モデルの比較のための中規模地震の地震動シミュレーション"地震 第2輯. 56. 111-123 (2003)
• [文献書誌] 山中浩明, 元木健太郎, 上村康之: "2003年7月宮城県北部の地震の余震観測と地盤特性"日本地震学会講演予稿集2003年秋季大会. A071 (2003)
• [文献書誌] 元木健太郎, 荒井茂, 上村康之: "2003年5月26日宮城県沖の地震の北上低地帯に見られるやや長周期地震動"日本地震学会講演予稿集2003年秋季大会. A070 (2003)