研究課題
基盤研究(A)
自然風を活用した建築環境設計計画法の確立を目的として、平成14年度においては主として、第一に窓のような大開口を通じた通風量及び建物に作用する風圧力に関する実験室実験を建築研究所通風実験棟において実施し、風向が異なる場合における開口部流量係数の変化の様子を定量的に把握した。また、壁面風圧、建物内部床面風圧、開口部通過気流速の時系列データを解析し、時間的な相関性を把握することによって気流圧力性状の理解を深めることを試みた。流量係数が風向によって変化する様相を明らかにし、値が定格的な流量係数値をほぼ上回らないこと、多くの条件で定格的な流量係数の数分の一程度に低下する可能性があることなどを明らかにした。第二に、250分の1建物縮尺模型を使用し、様々な立地条件(粗度)における様々な形状の建物に作用する風圧及び風圧係数を収集した。建物形状は、その高さ、幅、奥行き、その他の平面形状(直線、くの字形、星形、L字形等)を変えて多様な条件での風圧係数データを収集した。多様な条件に関する建物への作用風圧を予測するためのデータベースのあり方についての検討を開始した。さらに、一対の建物模型を用い、相互の距離や位置関係を変更した風洞実験を行って、隣接建物による遮風効果を予測するための方法を検討した。第三に、戸建住宅に関する作用風圧の予測手法を作成するため、異なる風洞を用いて模型実験を実施するための予備実験を実施した。これについては、圧力測定手法や風洞実験条件の改良のためにさらに本格的な実験の開始に向けて準備が必要である。
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