現在用いられている結晶材料のほとんどは構造材料、機能材料を問わず、液相からの凝固で製造されている。従って、結晶材料の特性は凝固の段階でほぼ決定されていると言っても過言ではない。すなわち、凝固過程を制御することは、すぐれた特性を有する結晶材料の製造あるいは開発にとって極めて重要である。凝固過程の制御のためには凝固のフロントである固液界面の挙動に関する詳細な知識を持つことが必須である。本研究は、透過電子顕微鏡内その場加熱実験により、固液界面を高分解能で観察するのみならず固液界面近傍での固液両相内での不純物・合金元素の分布を解析した。 平成14年度に開発した手法を、めっき、はんだ接合などのプロセスの最適化にもこの方法を適用した。溶融金属によるめっき、例えば溶融亜鉛めっき技術は今や我が国の鉄鋼業界の最後の生命線ともいえる最先端技術である。また、はんだに関しては、環境問題の関連して無鉛はんだの採用が世界的な趨勢であり、その場観察によるピンポイント解析によりその最適化に資すことができた。
|