研究課題/領域番号 |
14205099
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 修一 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50133038)
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研究分担者 |
山本 篤史郎 筑波大学, 物質工学系, 助手 (40334049)
金 煕榮 筑波大学, 物質工学系, 講師 (20333841)
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キーワード | Ti-Ni / 形状記憶効果 / マルテンサイト変態 / マイクロアクチュエータ |
研究概要 |
SiO2酸化膜を両面に持つSi基板を用いて、Ti-Ni合金薄膜を片側のSiO2膜上に成膜した。フォトリソグラフィ法を用いて正方形の穴を加工し、ダイアフラム型マイクロアクチュエータ構造を作製した。上側のSiO2酸に達するまでSiを異方性エッチングすることにより、膜厚が2ミクロンのTi-Ni薄膜と1ミクロンのSiO2膜とから構成されたアクチュエータ部にした。真空熱処理炉を用いて、熱処理温度と処理時間を系統的に変えて形状記憶処理を行い、変態特性に及ぼす熱処理効果を調べた。Ti-Ni薄膜とSi基板との間の化学反応を抑え、付着強度のある最適熱処理条件を明らかにした。結晶構造はX線回折により広い温度範囲で調べ、高温で母相、低温でマルテンサイトになることを確認した。変態温度と変態熱は、高感度示差走査熱量計で測定し、室温よりも十分に高いことが分った。通電加熱及び放熱中の変形挙動を調べ、アクチュエータ特性を評価した。室温から334Kまでの各温度における形状を測定した。中央部の高さは22.7μmであった。温度を上げていくと、高さが低くなっていき、360K以上の温度になると、完全に平坦になった。冷却すると、反対に盛り上がっていき元の高さまで到達した。さらに過熱と冷却を行うと、この動きが繰り返された。観察は大気中で行い、特に片側に圧力を加えていないため、ダイアフラム自身に冷却時の形状変化を引き起こす駆動力がある構造であることが分った。変態温度がアクチュエータの常用温度の室温(293K)よりも約50K高く、十分な自然冷却効果が期待できるため、良好な動特性が期待できる。
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