超強加工によるナノ結晶化のメカニズムの解明とナノ結晶構造の原子レベル解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14205103
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90111921)
• 研究分担者: 戸高 義一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (50345956) ; 土谷 浩一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50236907)
• キーワード: ナノ結晶 / 強加工 / ショットピーニング / 鉄鋼材料 / ドリル / セメンタイト

研究概要

平成15年度は次の2点について研究を行った。
1.ナノ結晶における粒成長、析出物の分解の解明。
2.ナノ結晶化の加工条件の解明と加工方法の開発。
ナノ結晶は粒成長が極めて遅いことを実験的に確かめられた。その原因としての粒界構造の安定性を考察した。また強加工によってセメンタイトが分解することを観察した。特に加工による変形を伴わないセメンタイトの分解は世界で初めての観察である。このメカニズムについては、高静水圧による相変態やアモルファス化など新しい理論が必要である。
ナノ結晶化に必要な加工条件は真歪で7以上の大きな歪みを加えること、必要な歪量は歪速度に依存しないことを明らかにした。ナノ結晶生成の為の加工方法としては、ボールミル、落錘以外に、粒子衝撃、空気式ショットピーニング、超音波ショットピーニング、摩擦、ドリルなどを新たに見出した。
これらの成果は6つの学術論文、1つの図書、15の学会口頭発表、4つの国際会議での講演、1つの新聞発表として公表した。
以上、科学研究費補助金によりナノ結晶化の過程、ナノ結晶化がショットピーニングやドリル加工といった既に産業界に普及している技術によって、簡単に作製できることが判明した。

研究成果

• [文献書誌] M.Umemoto, Y.Todaka, T.Yasuda, K.Tsuchiya: "Comparison of Nanocrystallization in Steels by Ball Milling and Ball Drop Test"Journal of Metastable and Nanocrystalline Materials. 15-16. 193-198 (2003)
• [文献書誌] H.Nakayama, K.Tsuchiya, Y.Todaka, X.J.Hao, M.Umemoto, K.Morii, T.Shimizu: "Partial Amorphization of B2 Types Shape Memory Alloys by Cold Rolling"Journal of Metastable and Nanocrystalline Materials. 15-16. 283-288 (2003)
• [文献書誌] M.Umemoto, Y.Todaka, K.Tsuchiya: "Formation of Nanocrystalline Structure in Steels by Air Blast Shot Peening"Mater.Trans.. 44・7. 1488-1493 (2003)
• [文献書誌] M.Umemoto: "Nanocrystallization of Steels by Various Sever Plastic Deformation"Mater.Trans.. 44・10. 1900-1911 (2003)
• [文献書誌] 戸高義一, 梅本 実, 渡辺幸則, 土谷浩一: "ショットピーニングによる鉄鋼材料表面のナノ結晶化"日本金属学会誌. 67・12. 689-695 (2003)
• [文献書誌] M.Umemoto, Y.Todaka, K.Tsuchiya: "Nanocrystallization of Steels by Various Severe Plastic Deformation"Proc.of "Processing and Properties of Structural Nanomaterials", Materials Science & Technology, 2003, Chicano IL. 125-132 (2003)
• [文献書誌] 梅本 実 他: "ナノメタルの最新技術と応用開発「鉄鋼材料のショットピーミング等による表面ナノ結晶化」"シーエムシー出版. 5 (2003)