研究課題/領域番号 |
14205105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
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研究分担者 |
安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 講師 (60294021)
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30243182)
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キーワード | 格子欠陥 / 転位 / 磁気特性 / 疲労 / 変形 / 破壊 / 信頼性 / 面欠陥 |
研究概要 |
Ni基超合金の力学特性改善のためには、Ll_2型金属間化合物相γ'-Ni_3Al中に形態制御した微細なγ不規則相を析出させるのが有効である。しかし、転位とこの微細γ相との相互作用ならびに変形に伴う転位のγ相の切断の有無、それに伴う形状変化を電子顕微鏡等により直接観察することは容易ではない。本研究では、強磁性γ相の変形に伴う磁気特性変化を利用し、転位とγ相の相互作用、形態変化を調べると共に、圧縮変形ならびに疲労試験の際の磁気特性変化を利用してその変形機構を明らかにした。Ni_3(Al,Ti)合金単結晶を1423Kで焼鈍しγ'単相とした後、1073Kにて時効処理してγ'相中に微細なγ相を析出させた。3時間の時効までは、球状γ析出物の形状は変化せず、体積率のみが増加し、降伏応力が上昇する。その後、体積率は変化しないが析出物は粗大化し、降伏応力は低下する。自発磁化は時効時間の経過に伴う強磁性γ相の析出により100時間まで単調に増加した。保磁力は、3時間まで緩やかに増加した後、急激に上昇した。これは析出物が球状から板状に変化し、その形態変化による形状磁気異方性の増大に起因している。一方、磁化率は時効時間とともに単調に減少し、γ相の体積率ならびにNi濃度増加による強磁性体としての特性が強くなるためである。時効処理した本合金を疲労変形すると転位の切断によりγ粒子のサイズが減少し、自発磁化が低下する。10^4サイクル疲労した試料の自発磁化は極端に低下し、また保磁力が負の温度依存性を示すことから超常磁性を示す。この磁気測定結果からγ析出相は未変形時には50nm程度であったが疲労変形に伴って、その寸法は22nmへと減少することが明らかとなった。γ粒子に対し超常磁性温度域でのM-H/T曲線をLangevin関数で解析することにより、平均粒子径ならびに粒子径分布を正確に求めた。以上のように磁気特性を利用し、微細析出物を有する合金の変形機構ならびに粒子形状変化を観察することが可能となった。
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