界面エネルギー異方性を有するファセット結晶のフェーズフィールドモデルを導出し、これを用いてシリコン過冷融液からのデンドライト成長を解析した。フェーズフィールド方程式における異方性界面エネルギーの取り扱いにはEgglestonらによる方法を採用し、thin interface limit条件でのフェーズフィールドパラメータを求めた。モデルの解析精度を検証するため、平衡結晶形状を解析した結果、異方性については1%以内、Gibbs-Thomson効果については10%以内の精度で解析できることが明らかになった。本モデルを用いて、過冷融液からのシリコンデンドライト成長を解析し、成長速度と過冷度の関係を求めた。その結果は、青山らの実験結果と良い一致を示した。また、低過冷度では結晶はほぼ平衡形状を保ちながら成長し、高過冷度ではデンドライト形態となった。この遷移過冷度は約60Kであり、実験で観察される、マクロ界面形態変化の条件とほぼ一致した。 また、シリコンの2次元結晶成長その場観察装置を試作し、観察実験を行った。実験では、タングステンヒーター上のSiB板にサファイヤ板を設置し、ここでシリコンおよびSi-Ni合金を溶解、過冷凝固させ、その時の成長界面形態をビデオカメラで撮影した。その結果、過冷融液表面を成長する2次元結晶が観察され、本装置によるその場観察が十分可能であることを確認できた。
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