研究概要 |
ダイオキシン類ゼロ生成を目指して、ダイオキシン類の生成源である浮遊カーボン(C)系物質周囲のCOリッチな濃度境界層(Φ5,10,15m混合)を設けた。燃焼温度800℃、40%O_2-60%N_2混合ガス、800℃域におけるガスの滞留時間22秒の条件下において、ダイオキシン類が生成しやすい塩化ビニル(PVC)粉末試薬を燃焼させ、その排ガス中のダイオキシン類濃度を測定した。 (1)アルミナ球有効充填層長さが60mmの場合、排ガス中のダイオキシン類の毒性等量(TEQ)濃度は2.7ng-TEQ/m^3(s.t.p.)となる。アルミナ球有効充填層長さを2.7倍の160mmにした場合、そのTEQ濃度は0.31ng-TEQ/m^3(s.t.p.)となり約1/9に減少する。浮遊C系物質周囲の境界層消散によるダイオキシン類生成抑制効果は大きい。 (2)アルミナ球充填層の代わりにCaO粒子(4×5×2.5mmのチップ)を長さ110mmまで充填した。浮遊C系物質および燃焼ガス中に含まれる塩素は安定なCaCl_2として脱塩素されるため、排ガス中のダイオキシン類TEQ濃度は極端に減少し0.007ng-TEQ/m^3(s.t.p.)となった。高温度域での脱塩素速度は速く、そのダイオキシン類生成抑制効果は非常に大きい。 ただし、CaO粒子の形状・寸法が4×5×2.5mmであることから、Φ5,10,15mmのアルミナ球混合充填層の場合よりさらに強制混合力は強い。次年度にはダイオキシン類生成抑制効果に対する強制混合力の定量的な評価を行う。
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