研究課題/領域番号 |
14205114
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩本 正和 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10108342)
|
研究分担者 |
石谷 暖郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 講師 (50302617)
山本 孝 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (70361756)
田中 敏弘 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (20361777)
|
キーワード | ナノ多孔体 / 酸触媒反応 / 炭素-炭素結合生成 / オリゴメリゼーション / プロピレン / ジアリールエテン |
研究概要 |
本年度の研究において以下の点を明らかにした。 (1)壁構造の有機無機複合化による新しい機能材料の創製(岩本):昨年度、ジルコニウムカチオン-硫酸根-有機ミセル相から成るメゾ構造体を合成し、この化合物中の硫酸根と水中の砒酸イオンがイオン交換を報告した。本年度は、中心金属イオンとして酸化チタンを用いると、セレン酸イオンに対する交換容量、交換速度、交換平衡定数が既存の除去剤の性能を大きく凌駕することを見出した。この物質は砒酸イオン、クロム酸イオン等の除去にも使うことができた。 (2)規則性ナノ空間物質の特異な酸触媒特性の究明(石谷):シリカ系ナノ多孔体の特異な酸触媒特性の解明を検討している。本年はFriedel-Craftsアルキル化反応について検討した。本反応はアルコールをアルキル化剤とした場合に効率よく進行したが、副生成物である分枝状アルキル化体が時間とともにさらに反応消失する欠点があった。そこで、この逐次反応を抑制するため塩基性化合物を添加したところ、ニトロベンゼンの添加によって経時変化を防ぐことが可能になった。さらに、強力なエチルアミンの添加量依存性からシリカナノ多孔体上の酸点の数を決定することに成功した。 (3)金属イオン担持ナノ多孔体の触媒特性の解明(山本):昨年、ニッケルイオン担持M41(Ni-M41)を触媒とするとエチレンを高選択的にプロピレンに転換できる事を見出した。この反応についてさらに詳細な検討を行った。まず、ニッケル担持量依存性、接触時間依存性、エチレン分圧依存性、他のオレフィンの反応等を検討し、反応機構を提案した。さらに触媒調製法についても検討し、触媒の焼成温度が400-450℃ではミセル炭素が残存するため活性が低く、600℃を越えるとNiの担持状態が変化し活性が低下することを見出した。結局、500-550℃焼成が最適で、活性劣化も起こらなかった。 (4)メゾ多孔体の有機修飾による高機能光材料の調製(田中):シリカ系メゾ多孔体内でのジアリールエテン(DE)の光応答を検討している。シリカ細孔壁をフェニル基、メチル基等で修飾しても量子収率は変化しなかったので、DEの光異性化効率は細孔壁の有機構造に依存しないことを結論した。有機化合物の担持法を検討している中で、固相有機化合物が細孔内へ自発的に拡散する現象を見出した。ポリスチレン等の高分子も拡散したのでさらに詳細を究明中である。
|