研究分担者 |
調 憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70264025)
島田 光生 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10216070)
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10274515)
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10194747)
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
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研究概要 |
慢性肝不全治療用人工肝臓の開発に関して,本年度成果概要を以下に示す。 1.臨床用モジュールへのスケールアップの準備として,0.6g充填可能な容積1.8cm^3のモジュールから,3gの肝細胞が充填可能な容積8.95cm^3のモジュールへとスケールアップを試みた。灌流培養によりモジュールの機能評価を行った結果,スケールアップ前と比較して単位細胞あたりでの機能発現レベルは同等以上であり,良好なスケールアップが達成された。 2.肝再生可能な肝不全ラットモデルの作製に関して,70%部分肝切除と肝臓への血流遮断を組み合わせたモデルに関して検討を行った。その結果,血流の遮断時間を変化させることにより,重篤度を調節可能な肝不全モデルを確立した。 3.肝細胞オルガノイドが生存できる厚みを考慮した中空糸の作製法に関して,直径300μmの中空糸に熱圧縮処理を行うことで短径130μm程の楕円状の断面を有する中空糸の作製技術を確立した。異形断面中空糸内で形成された肝細胞オルガノイドでは壊死層の発生が抑制され,従来の約1.5倍の細胞数の維持が可能であった。その結果,中空糸内部初期固定化細胞数あたりの機能発現レベルは従来の1.5〜2.0倍の高機能化を達成した。現在,異形断面中空糸を用いたモジュールの作製およびその評価について検討中である。 4.オルガノイド形成と機能発現の関係を解明するために,細胞間接着を構成するE-cadherin分子に着目し検討を行った。その結果,E-cadherin分子の接着を阻害することによりヒト肝芽種由来細胞であるHepG2の球状オルガノイド(スフェロイド)形成が阻害され,肝特異的機能の一つであるアルブミン分泌能の発現の低下が認められた。以上の結果,スフェロイド形成にはE-cadherin分子分子の関与が重要であり,またスフェロイド形成と肝特異的機能発現には密接な関係があることが示された。
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