研究分担者 |
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
水本 博 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (90346817)
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10194747)
島田 光生 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10216070)
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10274515)
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研究概要 |
本年度研究成果概要を以下に示す。 1.前年度より開発を行っている中空糸型人工肝臓モジュールを肝不全ラットに適用する体外循環システムとして,実験動物から引き出した血液を直接人工肝臓モジュールに導入する全血循環システム,および血液より血漿分離器により分離した血漿を人工肝臓モジュールに導入する血漿分離型循環システムの2つの循環システムを開発した。 2.前年度に確立した温虚血肝不全モデルの作成技術を利用して,体重250gの肝不全ラット(自然回復率100%)に対して上記の2つの循環システムを用いて0.6gの肝細胞を充填した人工肝臓モジュールを適用し,その治療効果の比較を行った。その結果,血漿分離型循環システムでは5例適用中1例で回復が見られたのに対し,全血循環システムでは5例中3例の回復が見られ,残りの2例も生存時間の有意な延長が認められた。この結果,全血循環システムの治療システムとしての優位性が示された。さらに,従来我々が急性肝不全治療用人工肝臓として開発してきたPUF型人工肝臓と比較して約1/3の細胞量で同等の治療効果を達成することが示された。 3.より重篤な肝不全モデルに対する人工肝臓の治療効果を評価するために,自然回復率80%,60%の肝不全ラットを作製し,前述の全血循環システムを用いて3gの肝細胞を充填した人工肝臓モジュールを適用した。その結果,自然回復率80%の肝不全ラットでは救命率100%を達成し,また自然回復率60%の肝不全ラットでは2例に適用した結果,1例が回復し,残り1例も生存時間の有意な延長が認められた。 以上の検討結果より本研究課題で開発した人工肝臓は,自己再生が不可能な肝不全状態に対し,患者の延命,さらには自己肝の再生を誘発することにより肝不全状態からの回復が可能であることが示され,人工肝臓としてこれまで達成されていない治療効果が達成された。
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