研究課題/領域番号 |
14205121
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (00108466)
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研究分担者 |
叶 深 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授 (40250419)
山方 啓 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (60321915)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 電気化学 / 電極表面反応 / 反応ダイナミクス / 赤外分光 / 電極触媒 / 自己組織化単分子膜 / 電気化学振動 / 反応機構 |
研究概要 |
本研究は、振動分光を用いて電極界面反応のダイナミクスを分子レベルで明らかにすることを目的とした。本研究達成の鍵は、単分子以下の超微量化学種の高感度が可能な表面増強赤外分光(SEIRAS)であり、ピコ秒までの超高速時間分解での反応追跡を可能とした。主な成果は以下の通りである。 1.超高速時間分解測定法の開発:通常の電気化学反応解析では、電気二重層の充電に妨げられ、0.1〜1msよりも速い反応過程を追跡することは不可能である。可視光パルスで電極温度を急速に変化させ電極電位を瞬時に変化させる温度ジャンプ法と、ピコ秒IRパルスによるSEIRASを組み合わせることにより、電極界面のピコ秒時間分解IR計測に世界ではじめて成功した。 2.SEIRASの基礎技術の進展:上記測定を可能にするために、安定な薄膜電極が必要であり、無電解メッキや金属コロイドを基板表面に固定する簡便かつ有効な技術を開発した。 3.電気化学振動の分子論的解析:電極表面では様々な振動現象が起こる。Pt表面におけるギ酸酸化の際に観測される電位ならびに電流振動を時間分解SEIRASで追跡し、反応中間体が高い被覆率では反応阻害種になるという新しいモデルを提案した。 4.電極触媒反応の解析:燃料電池の急速な発展が望まれている現状から、Pt触媒表面における水素発生、酸素還元、メタノールを含むC1化合物の陽極酸化を解析し、反応ダイナミクスを明らかにした。特に、C1化合物の酸化はすべて表面に吸着したフォルメート経由で起こることを明らかにした点は、今後の触媒研究に大きな影響を与えるものである。 5.自己組織化単分子膜の機能と構造解析:電極界面における分子認識の一つとして、Au電極に固定した核酸塩基と溶液中の対塩基の水素結合対形成を調べ、分子認識には溶液pHと電極電位の制御が必要であることを明らかにした。また、u三核錯体の配位子が電位制御によって自在に交換できることなどを明らかにした。
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