研究課題/領域番号 |
14205122
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長村 利彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90117200)
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研究分担者 |
田中 敬二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20325509)
川井 秀記 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (80324341)
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キーワード | 酸化還元クロモフォア / 高分子化合物 / 蛍光寿命 / ESRスペクトル / 光通信波長域での吸収制御 / イオン対間光誘起電子移動 / フェムト秒パルス / 導波モード薄膜 |
研究概要 |
酸化還元クロモフォアとしてビスピリジニウミルフルオレンを主鎖の一部にもつ高分子化合物を合成した。この高分子は蛍光性が非常に強く、ピコ秒レーザー励起による時間分割蛍光測定を行い蛍光寿命1.75ナノ秒を得た。テトラフェニルホウ酸を対アニオンとして用いて光照射すると可視〜近赤外域に大きな吸収変化が観測された。1414および1794nmの吸収は一電子還元されたラジカルの長軸遷移によるものであり、光電子移動による光通信波長域での吸収制御が実現された。高分子薄膜でも同様な吸収変化が実現された。この化合物で光照射後に観測されたESRスペクトルと計算結果の比較から不対電子が分子全体に非局在化していることが確認された。次に、定常光反応性は示さないハライド塩を用いてフェムト秒レーザー励起により、可視〜近赤外域の過渡応答を調べた。その結果、イオン対間光誘起電子移動および逆電子移動に基づく非常に速く、可逆的な応答が可視〜近赤外域で観測された。正反応はフェムト秒のパルス幅でおこり、逆応答速度は微視的環境、対アニオンなどによって制御された。ヨージド塩のスピンコート膜での1380nmにおける吸光度変化から、速い成分(37%)の寿命は240fs、遅い成分は1.8psであった。同じ試料の同じ位置で、20μJ/pulseの400nmフェムト秒パルスを数十万回当てた後でも良好な再現性と耐久性が示された。このような超高速応答高分子で導波モード薄膜を形成し、光による光制御を検討している。
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