研究課題
ジスタノキサンのルイス酸性を向上する目的でパーフルオロオクタンスルホニル基の活用を試みた。もっとも汎用性のある[ClBu_2SnOSnBu_2Cl]_2の1,3-位の塩素をパーフルオロオクタンスルホニル基に置換した新規な化合物[C_8F_<17>SO_3Bu_2SnOSnBu_2OSO_2C_8F_<17>]_2(1)を合成した。この化合物は溶液中ではイオン解離し、カチオン性ジスタノキサンを与え、期待通り向山-アルドール反応やアルデヒドのアリル化反応の触媒となることが分かった。これは炭素-炭素結合反応を触媒するジスタノキサンの最初の例である。次にフルオラスジスタノキサンのルイス酸性と同時に親フッ素性の増加も期待して、[C_8F_<17>SO_3(C_6F_<13>C_2H_4)_2SnOSn(C_2H_4C_6F_<13>)_2OSO_2C_8F_<17>]_2(2)を合成した。しかし予期に反してこの化合物はFC-72などのフッ素系溶媒には殆ど溶解せずむしろ酢酸エチル、THF,メタノールなどの極性有機溶媒に異常に高い溶解度を示した。2をこれら有機溶媒とFC-72の1:1混合溶媒に添加すると2は有機溶媒層ではなくFC-72層に溶け込むことが判明した。さらに意外なことには、2をほとんど溶解しないアセトニトリルを有機層に用いても2は完全にFC-72に溶解する。このような意外な溶解性に基づいて2を酢酸エチル-FC-72から再沈殿することにより精製することに成功した。現在、その機構について解明中である。アセチレンスペーサーを有するダブルラダージスタノキサンの合成は溶解度が低いためにいまだに成功していない。本年度はシングルラダー型ジスタノキサンに芳香族アセチレンを結合しデンドリマー型ジスタノキサンの合成に着手した。現在最終ステップ手前の段階まできているので目的化合物は遠からず合成できるものと思われる。今後はデンドリマー型ジスタノキサンの機能材料としての特性の把握につとめる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
Angew.Chem.Int.Ed. 43
ページ: 2121-2124
Acc.Chem.Res. 37
ページ: 288-296
In Hand book of Fluorous Chemistry (Gladysz, J.A.; Currna, D.P.; Horvathe, I.T.Eds.)(Wiley-VCH, Weinheim)
ページ: 412-414
ページ: 3724-3728
J.Am.Chem.Soc. 126
ページ: 10389-10396
Chem.Lett. 33
ページ: 528-529