研究概要 |
トリアジンチオールの電解重合を我々は金属メッキに対応する機構で進むと考え、これを「有機メッキ」と命名し実用化製品も出現し、認知されつつある。従来の電解重合との違いは生成した薄膜が導電体であるのに対して絶縁体であることである。これによりトリアジンチオールの有機メッキの工業的展開が急速に進展すると期待して鎖長と層数制御の関係を解明し、膜の物性評価を行った。以下にその結果を報告する。(1)2-置換-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオールにおいて、2位の置換基の鎖長が炭素鎖数4,6,8,10の飽和基及び6,10の不飽和基、パーフルオロ含有基からなるトリアジンジチオールを4工程を経て合成した。(2)これら(5mmol/dm^3)を超平滑ステンレス板(Ra:4nm,1tx30x50mm)及びアルミニウム板上に電流密度:0.02,0.05,0.10,0.15,0.2mA/cm^2で有機メッキし、皮膜量と電流効率の関係を求めた。(3)電流効率は0.02mA/cm^2の時最も高い値(95%)が得られるが、鎖長に依存した。それぞれのトリアジンジチオールについて電流効率から層当たりの電気量を計算して、異なる層数の有機メッキ被覆試料を得る条件が明らかとなった。(4)この結果を複雑形状(凹凸)の試料について同様の実験を行い、異なる層数の有機メッキ被覆表面を得ることができた。 (5)被膜の層構造をX-線回折装置、層数をエリプソメーター、トップ層の構造を接触角測定装置及びAFM装置などにより検討した結果、(6)LB法におけるY膜構造を有することが明らかになり、被膜の立体的化学構造が明らかになった。
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