研究概要 |
平成15年度の研究成果を以下に報告いたします。 置換基が飽和アルキル鎖長からなる2-R-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、R:(C_4H_9)_2N-,(C_6H_<13>)_2N-(R=4),(C_8H_<17>)_2N-(R=8),および(C_<10>H_<21>)_2N-(R=10)の4種類を、また置換基が不飽和アルキル鎖長からなる2-R-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、R:CH_2=CHCH_2COOCH(CH_2CH_2)_2N,(UR=1),CH_2=CH(CH_2)_3COOCH(CH_2CH_2)_2N-(UR=3),CH_2=CH(CH_2)_6COOCH(CH_2CH_2)_2N-(UR=6)の3種類を合成した。 まず、皮膜量と時間の関係に及ぼすトリアジンジチオール濃度の影響を検討し、皮膜生成の律速過程がトリアジンジチオール濃度と電流密度によって電荷移動過程と拡散過程にあることが分かった。トリアジンジチオール濃度が高く電流密度が低いとき律速過程は電荷移動過程に、またトリアジンチオール濃度が低く電流密度が高いとき律速過程は拡散過程にあることが分かった。そこで、層数を制御するために律速過程が電荷移動過程になるように濃度と電流密度を選択した。電荷移動律速過程に条件を選択し、電流効率について検討した結果、電流密度が0.01-0.05mA-cm^2の範囲内で行うと高い電流効率が得られた。電流効率は皮膜の結晶性に影響し、電流効率が高いほど結晶性に優れた皮膜が生成した。 アルキル鎖長が4(R=4),6(R=6),8(R=8),10(R=10)と増加するに従い、濃度と電流密度が同じ条件下で皮膜結晶性及び電流効率は増加した。アルキル鎖長の増加は皮膜の積層性を向上させ、トップ層におけるメチル基濃度も増加した。皮膜は2分子膜が積層して出来た構造からなった。 不飽和アルキル鎖が増加するに従い、電流効率は飛躍的に増加し、皮膜は三次元化した1分子膜構造からなることが分かった。トップ層は不飽和基からなり平滑な表面モルホロジーを示した。 結果として、層数制御は高濃度、低電流密度条件で高電流効率において、反応時間により行うことが可能であることが明らかとなった。
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