研究課題
音速に近い速度で飛行する旅客機の空力抵抗を低減するために、数値流体力学と遺伝的アルゴリズムの組み合わせによる最適化を行った。その結果、マッハ数0.98の領域での揚抗比を大幅に改善する形状を得るとともに、今後の音速旅客機開発のために大きな知見を得た。遷音速旅客機の実機空力設計ツールとして随伴方程式を用いた最適設計法のツールを構築した。それに付随して航空機の翼とエンジンナセルとの形状についての最適化を行った。このことで遷音速飛行時の抵抗低減のために重要な知見を得た。航空機の抵抗を発生原因ごとに分ける抵抗分解法を提案し検証した。この方法により、比較的粗い格子を用いた場合でも精度良い解析ができることを示した。また、誘導抵抗の精度良い数値予測が可能となることで、翼端におけるウイングレットの最適設計に応用した。宇宙往還機機体の音速域での飛行特性についての数値解析において、音速域特有の舵の逆効きの原因が衝撃波の移動であることを明らかにした。また、逆効きを防ぐために衝撃波の位置制御をするために翼断面形状を逆解法により求め、その効果を示した。非構造格子に基づく流体数値計算法の更なる高精度化を目的として離散ガラーキン法の研究を進めた。超音速実験機の信頼性改善をすすめ、その遷音速時の空力特性の検討を行った。遷音速で自由飛行する物体周りの流れをホログラフィー干渉計法で定量的に観察することを目指して、二重露光ホログラフィー干渉計法を備えた二段式軽ガス銃と直径1.660mm全長12.000mmの回収部からなる弾道飛行装置を設備し、その特性を明らかにしている。また、遷音速域での自由飛行する物体の加速減速過程をVISARにより計測している。この装置では、300m/sから8,000m/sまでの飛行体打ち出しが可能で、特に、空気中で330m/sから370m/sの速度範囲で自由飛行する直径40mm球まわりの衝撃波離脱距離を計測する準備を完了させている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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