研究概要 |
4ケ年計画の第1年度として,標準的な表面効果翼のCFDによる解析を行い(鳥取大学),従来知られていた実験結果と低高度領域での一致が良くないことが示された。この結果は既に発表済みである。このため,精密風洞実験(鳥取大学),曳航水槽実験(東京大学)を行い,従来からの実験結果には修正が必要であることを明らかにした。この結果を用いて前翼型表面効果翼船の運動シミュレーション(鳥取大学)と実船概念設計(東京大学)を行なった。運動シミュレーションでは前翼型表面効果翼船の巡航時耐航性が高いことが示されたが,実船概念設計においては前翼配置に工夫が必要であるとの結果となっている。 上記2つの実験とは独立に,波状水面板上の翼の表面効果の風洞実験を行い(広島大学),巡航時耐航性が高いことが確認された。 これらの基礎的研究に加えて,全長1.8mの小型前翼型表面効果翼船の自航模型を制作し遠隔操作によって走行実験を繰り返した(鳥取大学)。その結果,この模型は低速航行,高速滑走,ジャンプ,離水および飛行が可能であり,基本的な走行データも計測可能であることが分かったが,未だに定常的な持続飛行には成功していない。その原因の一つは鳥取地方における冬季悪天候があり,他の一つは,遠隔操作の困難さにある。今後これらは順次解消する予定である。 加えて,全翼型表面効果翼船の全船風洞試験も実施し,この形式の表面効果翼船が所期の性能を示すことが確認された。この結果も国際学会において発表し強い関心を集めている。 未発表の成果は逐次適当な学会等で発表すべく準備中である。来年度は,これらの成果を基にさらに基礎的研究および試験艇試作のための研究を続行する予定である。
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