研究概要 |
4ヶ年計画の第2年度として,昨年度の成果をもとに4種の異なった翼型の翼の表面効果の精密風洞試験(鳥取大学)および曳航水槽実験(東京大学)を行った。結果は,標準的な表面効果翼型として下面がほぼ平板のクラークY翼,高揚力翼としてのNACA6409翼,NACA3409翼のキャンバ線を途中で逆転したS字翼およびNACA3409翼の信頼性の高い空力特性が得られた。これは今後の研究において重要なデータとなる。加えて,S字翼が高い揚抗比を示し表面効果翼船の翼型として適していることが判った。 CFD関係としては,離着水時に艇下面から発生する水飛沫を解析する手法を開発し,従来の実験結果を再現することができた(鳥取大学)。 本研究の基本構想である前翼型表面効果翼船の全機模型を固定平板および波板の上で曳航水槽試験した(広島大学)。結果は,圧力中心の移動が微小であることおよび進行波面での特性も良好であることを示しており,基本構想の正しさを裏付ける結果となっている。この現象を時間領域BEMによってシミュレーションした結果(広島大学)も,現象を正しく再現しており,設計ツールとしての有効性も確かめられた。 最後に,小型自航模型は垂直尾翼改修,前翼取付部改修,モーター出力強化を行い,主翼にはクラークY翼に外翼を付けたものとS字翼のものの実験を行った。S字翼のものが良い性能を示している。さらに,小型模型の2倍サイズの中型模型を試作した。 これらの成果は逐次適当な学会等で発表すべく準備中である。来年度は,これらの成果を基にさらに基礎的研究および試験艇試作のための研究を続行する予定である。
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