研究概要 |
本年度は前年度までに製作した現場型微生物遺伝子解析装置(名称をIISA-Gene : Integrated In Situ Analyzer-Geneとした)のプロトタイプについて,高圧実験水槽システムを使用してその性能評価を行った.また,実際に深海などの現場で分析を行うことを目的としてマイクロプロセッサによるヒータ・ポンプ・バルブ等の制御を行うための電装系及びそれを収納する耐圧容器について設計・製作を行った.PCR等の反応を行う部分について油漬構造とするための容器の設計・製作も同時に行った. また,環境中に生息する微生物の遺伝子解析を行うために,同装置内でカオトロピック試薬及びガラスビーズを用いて微生物細胞から遺伝子(DNA)を精製する機構についても集積化を行った.さらに蛍光色素を用いた光学的な検出を行うために光ファイバ,耐水圧光ファイバコネクタ及び光電子増倍管からなる検出機構についても製作・評価を行った後に集積化することに成功した.これにより海水などの環境サンプルの導入からPCRによる遺伝子断片の増幅,蛍光による遺伝子断片検出までを単一の小型装置で自動的に行うことが可能となった. 尚,製作したIISA-Geneを実際の海洋環境で稼働するために海洋調査船「なつしま」及び無人探査機「ハイパードルフィン」を用いた調査航海計画を立案し,JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)により平成17年度4月末実施予定で採択された.製作したデバイスを本航海で実際に稼働し,その性能を評価すると同時に微生物の空間的な分布に関する惰報が得ることが期待される.
|