研究分担者 |
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
土屋 範義 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (40207410)
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90180562)
高橋 亨 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50323051)
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研究概要 |
深部地殻エネルギー抽出量の増大を目的として,超臨界水と岩石の相互作用を活用するための研究を行い,以下の知見を得た. 1.高温下での岩石の破壊特性評価に関する実験において,超音波法に基づく検討により,封圧の作用は加熱に伴う微視き裂の発生を抑制する上で効果的であることを明らかにした. 2.3種類の露頭花こう岩ならびに葛根田地熱フィールドの深部花こう岩を用いを対象に,透水実験を実施し.岩種によらず水の臨界点を超えた温度条件で微視割れが誘起され透水率が上昇することを示し,超臨界水誘起微視割れが花こう岩一般に観察される現象であることを見出した.ただし,深部花こう岩においては,水の臨界点を超えた条件での透水率は露頭花こう岩に比較すると小さな値であり,今後の重要な課題であることを示した. 3.飯館花こう岩を用いて3軸圧縮試験を行い,せん断破壊のき裂面近傍と遠方領域のき裂密度を測定することにより,超臨界水誘起微視割れに加えて応力作用効果により微視割れが促進される現象のあることを新たに見出している.この化学的ならびに力学的作用の重畳効果は,亜臨界水条件に比較して超臨界水条件で格段に大きいことを明らかにしている.これにより,超臨界水環境下で応力腐食割れが加速される現象が存在することを指摘した. 4.水の超臨界状態を考慮し,さらに超臨界貯留層と亜臨界貯留層の融合効果を検討するために2相流状態における流動を考慮した循環による熱抽出シミュレーションコードを作成した.本解析コードを用いた数値解析を行うことにより,水循環に伴う抽熱に及ぼす岩体温度,循環流速の影響を明らかにしている.これにより,抽熱性能を向上させるための超臨界貯留層条件に関する基礎的な知見を提供している.
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