研究概要 |
いもち病菌Magnaporthe oryzaeの植物種特異的寄生性の遺伝学的機構を明らかにするため、コムギ菌を中心としてピボットターン交配系を構築した。その雑種後代を用いた分離分析の結果、アワ菌のコムギに対する非病原性に関与する遺伝子座Pwt1,Pwt2、コムギ菌のアワに対する非病原性に関与する遺伝子座Pfm1,Pfm2、エンバク菌のコムギに対する非病原性に関与する遺伝子座Pwt3,Pwt4、コムギ菌のエンバクに対する非病原性に関与する遺伝子座Pat1を同定することに成功した。さらに、イネ菌のコムギに対する非病原性にはPwt1,Pwt2に加えてもうひとつの遺伝子座が関与することが明らかとなり、これをPwt5と命名した、状況証拠から、これらの遺伝子座における機能的遺伝子は非病原性対立遺伝子であると考え、各座における非病原性/病原性対立遺伝子をPWT1/pwt1のように命名した。つぎに、これら遺伝子のうち、PWT1,PWT4,PAT1をクローニングターゲットとして選抜した。、PWT1についてはアワ菌xコムギ菌のF_1を用いてRFLP,AFLPによる連鎖地図を作成し、約5cMで連鎖するマーカーを得た。PAT1については、AFLPを用いたbulked segregant analysisによって、約5cMで連鎖するマーカーを得た。PWT4については、戻し交雑集団を用いたbulked segregant analysisの結果、0cMでリンクするマーカーを5個見出した。これらを基点にクロモソームウオーキングを行っている。
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