研究概要 |
本研究者らは昨年度までに既に、生ゴミ分解コミュニティにおける優占種であるBLx菌を単離し、その性質を明らかにすると共に、生ゴミ分解中の各種酵素活性を測定した。本年度はさらに、 (1)BLx菌の進化分類学的研究を行い、本菌が新属・であることを明らかにし、Cerasibacillus quisquiliarum, gen.nov.sp.nov.と命名した。さらにこの菌がゼラチン分解性のプロテアーゼ活性を持つこと、耐アルカリ性、耐熱性、耐塩性を併せ持つことが、本菌がある種の生ゴミ処理過程における優占種になる要因と結論した。 (2)生ゴミ分解過程に検出される各種酵素活性をザイモグラム等により解析し、さらにそれぞれのフェイズから単離した微生物の有する酵素活性と比較することによって、分解過程のそれぞれのフェイズにおいてどの微生物の分泌した酵素が主要な役割を演じているかを推察した。 (3)分解過程から精製した酵素および単離微生物の培養液から精製した酵素について、そのN末端アミノ酸配列を比較することにより、上記推察が正しいことを検定した。 (4)上記生ゴミ分解ミクロフローラは、分解装置の安定運転中は安定した微生物種からなることを、分子生態学的手法により証明した。 (5)別に調整したセルロース分解コムニュティから、新規の耐酸素性セルロース分解性クロストリジウムを単離し、Clostridium straminisolovens sp.nov.と命名した。 (6)上記の結果をもとに、廃棄物の分解処理・再利用に関わる微生物集団の特徴、その解析法等について総括した。
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