研究課題
基盤研究(A)
アズキ黄化芽生えのジベレリン結合活性を示すタンパク質を精製し、20万倍以上の濃縮を達成し、その性質を解析した。このジベレリン結合タンパク質は、活性型ジベレリンのGA_4にたいし、Kd値が10^<-7>Mオーダーの高い親和性を示すとともに、同じく活性型ジベレリンであるGA_1, GA_3に対する親和性もGA_4の10〜20%と高いものであった。一方、GA_4の生合成前駆体であるGA_9や不活性型の3-epi-GA_4に対してはほとんど結合活性を示さず、基質特異性、親和性からジベレリン受容体としての性質を満足していたが、完全な単離には至らず、そのアミノ酸配列を明らかにすることはできなかった。一方、活性型ジベレリンの代謝酵素が同様な基質特異性を示す可能性を検討した。アズキ黄化芽生えに発現しているジベレリン不活性化酵素GA2-oxidaseは3種類あり、その中のVaGA2oxA1は、Co^<2+>存在下でGA_4に対し高い結合活性を示したが、GA_9にも結合活性を示した。さらに、抗VaGA2oxA1抗体を調製し、精製を進めたジベレリン結合タンパク質との交差生を調べたところ、全く交差しなかったことから、ジベレリン家結合タンパク質はGA2-oxidaseとは異なった。本研究期間中に、ジベレリン受容体の特定には至らなかったものの、本研究の成果は、その後、ジベレリン非感受性矮性イネ変異体gid1の原因遺伝子GID1のコードするタンパク質がジベレリン受容体であることを実証するうえで、多大な貢献を果たした。後に、アズキのジベレリン結合タンパク質がイネのジベレリン受容体OsGID1に対する抗体と交差したことから、アズキのジベレリン結合タンパク質は、GID1のホモログであると考えられた。
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