研究課題/領域番号 |
14206020
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井鷺 裕司 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50325130)
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研究分担者 |
川口 英之 島根大学, 生物資源学部, 助教授 (40202030)
湯本 貴和 広島大学, 総合地球環境学研究所, 教授 (70192804)
浅野 透(中静 透) 広島大学, 総合地球環境学研究所, 教授 (00281105)
金子 有子 滋賀県琵琶湖研究所, 研究員 (90280817)
崎尾 均 埼玉県農林総合研究センター, 森林支所, 専門研究員
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キーワード | 送受粉 / 長期大面積調査プロット / 多様性維持機構 / マイクロサテライトマーカー / 森林生態系 / 遺伝子交換 / 繁殖特性 |
研究概要 |
多様な樹木における送受粉のパターン、送受粉が行われる個体の範囲、そして送受粉を介した次世代への遺伝子の流れを、温帯体および熱帯地域に設営されている長期・大面積調査プロット内で実測し、生物保全や生物資源管理の観点から森林生態系を理解することを目的として、様々な繁殖特性を持つ樹木個体群を対象に、遺伝マーカーを用いて送受粉プロセスに関する解析を行った。 遺伝マーカーの開発に関しては、昨年度開発を行ったハリギリとカツラのマイクロサテライトマーカーについて、実際の大面積プロットにおいて有用性の確認を行った。 調査プロットの整備及び繁殖状況の調査に関しては、それぞれの研究分担者が担当する長期大面積プロットにおいて、調査プロットの整備と個体レベルの繁殖状況に関する詳細な調査を継続して行った。特に、温帯性落葉広葉樹林において、ホオノキ、ハリギリ、トチノキを対象に調査対象面積をこれまでの類似の研究としては最大級の面積である数百ヘクタールのレベルまで拡大し、個体の位置、繁殖状況の調査、遺伝子型の決定を行った。 ホオノキは開花や花の性表現の微妙なタイミングが有効な送受粉過程に著しく影響するので、ホオノキ繁殖個体の樹冠にアクセスできるような体制を整え、開花時期毎の解析を行った。カツラは昨年度行った父性解析において、外部からの遺伝子の流れが想定していた以上に大きかったので、線形の調査地を新たに設定し、より詳細な解析を始めた。トチノキは調査対象面積を110ヘクタールまで拡大し、個体群の遺伝構造とそれを制御する送受粉過程について解析を行った。トチノキの個体群において詳細な親子解析を行い、成長ステージごとに花粉親の組成を解析したところ、次世代個体の成長が進むにつれて、より遠くの個体が花粉親として機能していることが明らかになった。
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