研究課題/領域番号 |
14206023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 良朗 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90280958)
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研究分担者 |
白木原 國雄 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90196618)
松田 裕之 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (70190478)
猿渡 敏郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (00215899)
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キーワード | 魚類資源 / 自然変動 / 大変動 / ニシン科魚類 / サンマ / 生活史戦略 / 資源管理 |
研究概要 |
生活史パラメタをニシン科魚類のニシン、マイワシ、ウルメイワシ、キビナゴの4種について比較した結果、亜寒帯水域に対する依存度が大きく資源量変動が大きい前2種では、亜熱帯水域に生息し資源量変動が小さい後2種に比べて、初回成熟年齢が高くて成熟体長が大きく、産卵数が多く、より多年間にわたって産卵を継続することがわかった。宮古湾のニシンと串本沿岸のキビナゴで初期生残過程を比較すると、ニシンでは年および1産卵期の時期によって生残率が極端に異なるのに対して、キビナゴでは経年的にも長い産卵期のどの時期においても生残率の変動は小さいことがわかった。マイワシ資源の激減期にあたる1990年代における単位産卵資源量あたりの0歳魚加入尾数は、1990年の0.09から1996年の7.80まで100倍近い幅で変動した。 北西太平洋のサンマは、1個体群が季節的に南北回遊を行い、冬には黒潮域で、秋と春には黒潮親潮移行域で産卵する。艀化直後(体長5.9mm)から体長40mmまでのサンマ仔稚魚の累積生残率を求めると、黒潮親潮移行域において1990〜98年の秋に生まれた群では0.23〜7.38%と40倍の幅で、春に生まれた群では3.76〜21.62約7倍の幅で変動したのに対して、黒潮域で冬に生まれた群の変動幅は3.58〜7.82の2倍と安定していた。 生活史初期における成長速度や生残率が亜熱帯的な黒潮水域で安定しているのに対して、亜寒帯の影響を強く受ける黒潮親潮移行域において経年変動が大きいというサンマ仔稚魚の生活史パラメタ変動様式の違いは、ニシン科魚類の種間でみられた新規加入量変動幅の南北差とよく対応することから、新規加入量変動様式の南北差は、サンマに見られたような初期生活史パラメタの南北差によって基礎づけられていると考えられた。
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