研究課題/領域番号 |
14206025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
荒川 修 長崎大学, 水産学部, 教授 (40232037)
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研究分担者 |
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 教授 (20171712)
高谷 智裕 長崎大学, 水産学部, 助教授 (90304972)
野口 玉雄 (財)日本冷凍食品検査協会, 技術顧問 (40011910)
谷川 昭夫 長崎漁港水産加工団地協同組合, 専務理事/研究製造部長
前川 修治 長崎市水産センター, 所長
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | テトロドトキシン(TTX) / トラフグTakifugu fubripes / フグ養殖 / 脾臓細胞 / 幼若化 / 抗体産生能 / 麻痺性貝毒 / 酵素免疫的手法 |
研究概要 |
「フグ毒(TTX)を用いたフグ養殖」の実用化を想定し、実際の養殖現場、もしくはそれに準ずる海面の網生け簀などで、トラフグ(天然魚の入工受精卵を孵化させて得た仔魚、当歳魚、もしくは2年魚)に種々のTTX添加飼料を与えて飼育し、毒の蓄積状況や健康状態、免疫機能等について検討した。その結果、年齢によらずTTXを与えた試験魚には脾臓細胞幼若化反応や抗体産生能の上昇がみられ、実際の養殖規模においてもTTX投与が養殖トラフグの健全化に極めて効果的であることが示された。一方、トラフグに同様に麻痺性貝毒(PSP)を与えても、TTXに比べて蓄積効率が悪く、免疫賦活的な効果は認められなかった。 一方、無毒養殖トラフグに対し、2種の毒、すなわち精製TTXおよびTTX粗抽出液を腹腔内投与したところ、いずれの場合も主として皮と肝臓に毒の移行がみられたが、その様相は両者の間で若干異なり、移行速度は精製TTXの方が速く、最終的な蓄積量はTTX粗抽出液の方が多かった。さらに、脾臓細胞の幼若化反応には、毒の移行に呼応した推移がみられた。 他方、数種のフグ毒保有生物につき、酵素免疫学的手法によりTTXの組織内微細分布または細胞内超微細分布を可視化したところ、フグ類では、TTXは皮の腺細胞や基底細胞、卵母細胞中の卵黄物質などに分布するが、その様式は種により異なること、基底細胞において毒はリソゾームに分布すること、などが明らかとなった。ヒモムシの場合、表皮杵状細胞の尖端に配列する小胞と基底膜、吻上皮顆粒細胞、吻腔上皮等、ヒラムシでは卵にTTXが分布していた。 その他、ホシフグは皮に微量のTTXをもつが、同時に成熟が進んだ卵巣には著量のPSPを保有すること、有毒餌生物を遮断した状態で無毒の餌を与えて養殖したトラフグは、肝も無毒であること、などを明らかにすることができた。
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