研究課題/領域番号 |
14206031
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
雑賀 優 岩手大学, 農学部, 教授 (10183360)
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研究分担者 |
井上 達志 宮城県農業短期大学, 講師 (20264351)
中嶋 博 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40001474)
小林 晴男 岩手大学, 農学部, 教授 (60003779)
山下 雅幸 静岡大学, 農学部, 助教授 (30252167)
菅原 幸哉 畜産草地研究所, 研究員
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キーワード | エンドファイト / ペレニアルライグラス / トールフェスク / 共生関係 / アルカロイド / 牧草種子収集 / ニュージーランド / 水耕培養 |
研究概要 |
本年度は、四国4県、北陸4県および長野県でライグラス類の種子を収集した。集団感染率は四国の種子集団で94%、北陸で86%、長野県で50%であった。静岡市内のイタリアンライグラス7集団の感染率は15-92%で集団間変異が認められ、現在、草丈等の形態的形質との関係を調査中である。アワヨトウ幼虫による耐虫性の予備試験を行ったが、これまでのところエンドファイト感染・非感染葉間での食害程度、幼虫生存率などでの差異は見られていない。 西南日本で収集されたイタリアンライグラスに感染するエンドファイト系統は、形態的形質からNeotyphodium occultansと推定され、このことはDNA解析の結果からも裏付けられた。ペレニアルライグラスのN.Lolii感染個体からはErgovalineが検出されたが、西南日本で収集されたイタリアンライグラスからは検出されなかった。 エンドファイト種子伝播の詳細を究明するために、小花と頴花を供試し、パラフィン連続切片をトルイジンブルーで染色して免疫科学的方法で感染菌糸を検索した結果、雌性器官の胚珠に陽性反応が認められたが、胚と雄性器官では認められなかった。エンドファイトは種皮と糊粉層の間に局在し、雌性器官の胚珠を通して種子伝播することが明らかになった。また、感染個体と非感染個体を免疫化学的に簡易に見分けるためのイムノブロットキットの応用研究を行った。 エンドファイト感染個体の無機成分吸収特性を調べる目的で、2回目の水耕栽培とポット試験を行い、Scion Imageによる画像解析で根の生長量の評価を行ったところ、ペレニアルライグラスでは1回目と同様、エンドファイト感染個体の1次根と2次根の量が多い結果が得られたが、トールフェスクでは類似の結果が得られたものの1回目ほど顕著な差は得られなかった。圃場試験により葉中のミネラル構成割合を調べたところ、エンドファイト感染個体はKが低くトールフェスク、ペレニアルライグラスともMg,Siが高い傾向が見られた。 エンドファイト毒性発現閾値の決定、Ergovalineによる体温上昇作用の検出法、Lolitrem Bの毒性発現機構解明のため、エンドファイト感染、非感染牧草種子を供試してマウスへの給与試験を行った。体温上昇は認められたが顕著な神経症状は発現しなかったため、中毒発現にはさらにLolitrem Bの血中濃度を増加させる必要がある。
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