研究課題/領域番号 |
14206033
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長谷川 信 神戸大学, 農学部, 教授 (60107985)
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研究分担者 |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
斉藤 昇 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40211924)
平松 浩二 信州大学, 農学部, 助教授 (80238386)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | ニューロペプチドY(NPY) / 摂食調節ホルモン / 神経ペプチド / 食行動誘起機構 / 鳥類 / NPY受容体 / 肉用鶏 / 卵用鶏 |
研究概要 |
現代の肉用鶏は速い体重増加速度と高い産肉性により選抜されてきたのに対して、卵用鶏は高い産卵性により選抜されてきた。それ故、遺伝的選抜は2品種間における成長率の差を広げた。成長率の違いの一部は2品種間における摂食量の違いにより説明付けられる。数十年を超える研究により哺乳類及び鳥類における摂食を調節する脳内神経化学システムが調べられ、食行動に寄与すると思われる多くの神経伝達物質が同定された。最近、鶏の摂食調節機構は哺乳動物のそれと類似することが認識されてきた。それ故、本研究は肉用鶏と卵用鶏の摂食行動の比較により、高等動物の摂食調節機構を解明する目的で実施された。初めに、我々は強力な摂食促進因子であるニューロペプチドY(NPY)及び摂食抑制因子であるコカイン・アンフェタミン誘導転写産物が肉用鶏と卵用鶏の摂食に及ぼす影響について調べ、NPYに対する反応性が2品種間でやや異なることを示した。更に、鶏の摂食を調節する中枢神経系において、CARTがNPYと相互作用することを示唆した。次に、我々は肉用鶏と卵用鶏の新生雛における視床下部カテコールアミン代謝とガンマアミノ酪酸(GABA)受容体アゴニスト並びにアンタゴニストの効果の違いについて調べ、カテコールアミン代謝とGABA作動系において、2品種間に幾つかの違いがあることを示した。最後に、我々は、肉用鶏及び卵用鶏の視床下部におけるNPY遺伝子の発現とペプチド含有量の変動について調べ、視床下部におけるNPY遺伝子の発現とペプチドの含有量は、血漿代謝産物と同様に、摂食条件により変動することを示した。これらの結果は、NPY遺伝子の発現が、血糖値やNPY遺伝子の発現調節に役割を果たす可能性のあるレプチンの様な他の因子により調節される可能性を示唆した。以上より、2品種問の摂食行動の違いの一部は、NPYに対する反応性、視床下部カテコールアミン代謝、及びGABA作動系の違いに基づく可能性がある。
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