研究概要 |
1.ウシMHC(BoLA)領域の遺伝子構成の比較解析 2004年に公開されたウシゲノムの塩基配列を用いて、第23番染色体のBOLA領域に存在する遺伝子の種類や並びを整理し、ヒトMHC(HLA)と比較解析した。遺伝子の並びはヒトとは異なるが種類が類似していることが見いだされた。この配列データを元にMHC領域に多型マーカーを設定することが可能となったが、非常に多型に富む古典的MHC遺伝子は一般的に用いられているSNPやマイクロサテライトマーカーで解析することは非常に困難であるため、申請者らは多型に富むDRB3およびDQA遺伝子について、PCR-sequence based typing(PCR-SBT)法の開発に成功した。 2.BoLAクラスII DRBおよびDQA遺伝子の乳房炎発症に抵抗性を示す対立遺伝子の同定 開発したPCR-SBT法を用いて、野外牛95頭及び乳房炎発症牛188頭のBoLA-DRB3および-DQA1遺伝子のタイピングを行い、アリル頻度を比較した。DQA1^*1201,DQA1^*1203およびDRB3^*0101が発症牛で有意に低下していた。以上の結果から、BoLA-DRB3および-DQA1遺伝子が牛白血病ウイルス(BLV)誘発性牛白血病発症の抵抗性に関与しているという申請者が見出した成果に加えて、乳房炎発症の抵抗性にも関与していることを明らかにした。 3.BLV誘発性白血病発症に抵抗性・感受性のDRB3アリルが提示するBLVエピトープの探索 60頭のBLV感染牛の中から、白血病発症に対して抵抗性アリルDRB3^*1401および易病性アリルDRB3^*1601を持つ固体を選別し、BLV抗原蛋白質、Env(gp51,gp30),Gag(p15,p24,p12),Taxに対する免疫反応性を調べたところ、易病性アリルを持つ固体のリンパ球の反応性は著しく低かった。
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